http://katasumi-memo.seesaa.net/article/414158479.html から引用です。
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隼戦闘機のプロペラの特許料 鈴木洋一
戦前の飛行機はプロペラ機だった。プロペラは初期の木製から後に金属製(ジュラルミン)に変わった。金属製には、性能向上のため飛行状態により取付角度が変化する可変ピッチプロペラがある。可変ピッチの機構は米国ハミルトン社の開発で同社の特許となっていた。
隼、零戦などはこの可変ピッチプロペラで、そのプロペラは戦前にハミルトン社と技術提携をした住友プロペラ(現住友軽金属)が大部分を製造した。プロペラの設計には、陸海軍の指導の下に住友が開発した新技術も勿論沢山含まれたいたが、ピッチ変化機構にはハミルトン社の特許を使用した。
終戦に当たり財閥解体前の住友は逸早く、国交断絶後のプロペラをハミルトン社に通告し、特許料支払いを申しでた。先方の請求額によっては会社の存続さえ危ぶまれ、加えて外貨調達も困難な状況だったと聞く。
恐る恐る聞いたハミルトン社の返事は「特許料は厳正に頂戴します。請求額は差し引き1ドルです」だった。お蔭で会社は潰れず、戦後の復興に邁進できた。
現役時代に私もハミルトン社と付き合ったが米国企業には珍しく浪花節的なところのある会社だと思った。ある時、ハミルトン社幹部に前記伝聞を話したら、「ハミルトンは驚いたよ。米軍も捕獲したゼロ戦などから多くの技術を借用した。工場は灰墟に帰し在外資産全部を失った旧敵国企業が、まさか特許料精算を申し出るとは思いも寄らず、その律儀さに感動した。企業の信義を住友に学んだ」と言われた。浪花節的と私が感じたのは、先方がそんな気持ちで接してくれたためかも知れない。
ジェット機時代になって、ハミルトンのプロペラ売上は伸び悩んでいる。今は住友と共に風力発電に力を入れていると聞く。両社の発展を祈りつつ、伝聞を紹介する。

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